• コラム
  • 2019.03.27

不満買取センターに投稿される声(その10)
Insight Eye10:2019年1月の特徴的な内容とは?


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毎年お正月を終えると、各業界は恵方巻商戦、バレンタイン商戦に活気づく。恵方巻は大量廃棄やバイトへの過剰ノルマなどが近年問題となっているが、今年は農林水産省が“需要に見合う恵方巻の販売”を通達したことで話題となった。また、兵庫県内のスーパーが「もうやめにしよう」と書かれたチラシを作りSNSで反響を呼ぶなど、イベントを仕掛ける業界側でも予約販売や昨年実績より多く作る商慣習の見直しといった変化が起きている。そこで、今回のコラムでは2019年2月に投稿された不満から『節分』に関して、生活者側がどのような不満や要望を抱いているのか考察していく。

下記のグラフは、2019年2月1日~2月5日に不満買取センターに投稿された「節分」、「恵方巻」、「豆まき」のワードを含む不満(n=877件)に関してラベル分類(ラベリング)※1を行った結果である。
最も多かった不満は「恵方巻」となり、次いで「恵方巻廃棄処分」、「文化・慣習」と続いた。「豆」に関する不満が5%に留まったのに対し「恵方巻」に関する不満が過半数を占めた。一部の地域でしか認知されていなかった恵方巻だが、今や豆以上に節分にはなくてはならない食品となったことが伺える。その一方で、廃棄処分問題や太巻がこの時期限定のイベント価格になることに対する不満も多く、盛り上げる恵方巻商戦に嫌気を感じ始めた生活者が少なくないことが確認できた。

※1:ラベル分類とは、不満の投稿内容を1件ずつ解読し、意味が似たものを同じラベルとしてまとめる作業である。

続いてのグラフは、「文化・慣習」(n=154件)に関してラベル分類を行った結果である。
「恵方巻を食べる慣習」に関する不満が過半数となり、商業ベースで広まった慣習に対する生活者の不満はやはり大きいようだ。逆に「豆まき」は節分の伝統的は慣習と捉えられているが、”近所に気を遣う“、“掃除が大変”、“投げるのは教育上よくない”などの不満が見られた。昔と違い現代人にとっては抵抗がある慣習となりつつあることが衰退の理由の一つとして考えられる。

(一部抜粋)

「恵方巻」に関する不満

  • 7種類の具を入れる物とはいえ、太過ぎて1本食べきれない。寿司飯の量を減らしスリムにして欲しい。そして値段も安くしてくれたら数も買いやすいのに。(女性50代/既婚/パート・アルバイト)
  • 恵方巻きについて、自分で具材を選べるものが良い。苦手な具材がひとつでもあると食べられないし、選びにくい。(女性30代/既婚/会社員)
  • 種類があっても高いのばかりで買えない、子供がパクパク食べられる細巻の安価な物が欲しい。(女性40代/既婚/会社員)

「恵方巻廃棄処分」に関する不満

  • 恵方巻が大量に売れ残っているが、企業のイメージ悪化になると思う。(男性40代/未婚/自由業)
  • 午後七時を過ぎても割引きされていないものが多かった。定価で売りたいのもわかるけど、だから大量廃棄という問題になるのではないかと思う。(女性30代/既婚/会社員)

「文化・慣習」に関する不満

  • 恵方を向いて無言で一本食べきるのは無理矢理過ぎると思う不満。こぼれそうになるのをワイワイしながら食べる方がよっぽど楽しいです。(女性40代/未婚/自由業)
  • 節分の豆をまくと家の中や外が汚れること。袋入りの豆を投げてもいいけど、それだと気分が出ないしねぇ。(女性30代/既婚/専業主婦)

「売り場・購入時」に関する不満

  • どこのスーパーでも恵方巻押しがひどい。スーパーのチラシは恵方巻だらけで楽しくない。(女性40代/既婚/自営業)
  • 恵方巻のコーナーがすごく大きくとってあり、普通のお惣菜がいつもよりかなり少ない(50代/既婚/公務員)

「豆」に関する不満

  • 節分用の豆が毎回余って困る。レシピとか後ろに書いてくれると助かる(女性30代/既婚/専業主婦)
  • 子供が大好きで、おやつにポリポリ食べてます。体にいいのに、節分の季節しか、バーンと売り出してない気がします。(おつまみコーナーで見るのは、塩がついてるし)体にいいので、子供のおやつコーナーとして、節分豆売り出して欲しい。(女性30代/既婚/専業主婦)

「その他」に関する不満

  • 節分で恵方巻はわかるが節分そばって何ですか。いつから節分は食の祭りになったんだろう。ロールケーキとか節分饅頭とか意味わからん。(男性40代/既婚/自営業)

慣習の本来の意味を歪める商品や生活者が買いづらいと感じる価格設定は、生活者との溝を深めてしまっていると言えるだろう。近年のバレンタインでは体験型のチョコレート売場が増えている。恵方巻も購入するところから生活者が楽しさや喜びを感じられる商品やサービスにシフトしていくことがより重要になってくのではないだろうか。また、“無言で食べるのはつまらない”、“年齢分豆を食べるのはツライ”など、昔ながらの慣習がつまらないという声に答えた新たな商品提案があってもよいかもしれない。

今回は2019年2月の特徴的なトピックス『節分』についての分析結果を紹介した。
次回も3月ならではの話題で不満の声をお届けしたい。

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