不満買取センターに投稿される声（その7）

コラム
2018.12.19

不満買取センターに投稿される声（その7）
Insight Eye7：2018年11月の特徴的な内容とは？

Insight Tech Biz

株式会社Insight Techが運営する「不満買取センター」は、Web及びスマートフォンアプリを利用して生活者が日常生活で感じたあらゆる不満を投稿できるサービスである。2015年3月にサービスインしてから、多くの生活者が会員登録を行っており、2018年12月初旬に延べ会員登録数が40万人を超え、ほぼ同時期に述べ投稿件数も1,000万件を超えた。インターネット環境が整備され、技術が日進月歩で発達するなか、2000年以降、世界規模で膨大な数のインターネットを活用したサービスを提供する企業が設立している。その状況下、生活者の不満の声を集めるシステムを構築し、40万人規模の会員組織から1日1万件規模の投稿、1,000万件規模の不満データを保有している企業は他にはない。Insight Techはノンバイアスの不満データを、独自の自然言語処理技術を活かしAI解析することで企業や社会の課題解決のサポートを行うことを目指している唯一の企業と言える。

このコラムの連載は、「不満買取センター」に投稿されるデータの特徴や内容を分かりやすく理解していただく為に、月次の投稿の中から世の中のトレンドや話題をテーマにし、そこから得られた分析結果や知見を紹介しているものである。以下で1１月の不満トレンドと共にその分析結果をご紹介したい。

下のグラフは、Insight Techが定める業界22項目の月次不満投稿件数の比率を表示したものである。2018年11月の不満投稿の特徴は、「暮らし・住まい」、「デジタル・家電」の投稿数が増加したことである。「デジタル・家電」の中で出現回数が急増したトピック語は、1位：暖房、２位:加湿器、３位:タイマーであった。「暮らし・住まい」のトピック語は、1位：暖房、２位:結露、３位:寒さであった。11月は立冬という季語が表現するとおり、冬の気配が立ち始める時節で、不満投稿からも冬の訪れを感じさせる気温の低下や乾燥など、気候の変化に伴った生活者の不満が集中した月だったと見ることができる。

次に11月の不満トレンドであった生活シーンの中における“寒さ”に注目し、11月に「暮らし・住まい」の業界に投稿された「寒」のワードを含む投稿（1,295件）を対象に、自然言語処理技術で抽出できる意見タグを利用し、どのような投稿内容だったのかを確認していく。

下のマップは、意見タグAIで不満投稿内容をAIが構文解釈し、「▲▲-ガ-○○」という意見性があるフレーズ＝意見タグを抽出した後「▲▲（意見対象部）」のみをワードクラウド化し、まとめたものである。
※次のURLより詳細内容をご参照下さい。
意見タグAI：http://lab.insight-tech.co.jp/articles/69/

“シーン”では、寒い時期の洗濯は冷たい外気や水、乾かないストレスなどに多くの人が不満抱いていることが分かった。続いて“場所”、”生活”では、家の中で快適(暖かく)に過ごせていない様子や結露に悩む声などが見られた。“防寒”では朝夜と昼の温度差で着るものに悩む声などが挙げられた。

不満買取センターに投稿される不満内容には、どんなシーンで何に対してどのような不満・期待をもっているのかが具体的に投稿される傾向がある。また、「あんなものが欲しい」、「こうしてくれると嬉しい」といった『提案・要望・改善』の意見と思われる投稿が一定割合含まれる。
具体的に上のワードクラウドにはどのような『提案・要望・改善』の声が含まれていたのか、その一例を紹介したい。

事例で挙げた不満投稿を確認すると、生活者が不満に感じるシーンや情景が明確に理解できると思う。また投稿内容の末尾に注目すると「～してほしい」、「～いいのに」、「～作ってほしい」といった文章が記載されていることが確認できる。生活者が不満を述べつつ、自分や家族、利用者にとって商品やサービスがより利用しやすいもの、より充実したもの、より便利なもの、になるような視点で記載していることが、「不満買取センター」に投稿される生活者の声の特徴である。
例えば、「朝」の投稿からは、スマホとの連携でスマート家電の開発に繋げられる可能性も考えられる。また「寒い」の投稿にあるドライヤーをかける時間を短縮するシャンプーや、「服装」の投稿にある天気や気温に合わせた服装をリコメンドしてくれるアプリサービスは既に市販していたり、サービス展開している内容であるが、同じような不満の投稿をしている会員に対し、より深くアンケートを行ったり、インタビューしたりすることで、商品・サービスのリニューアル、改良に繋げられる可能性も考えられる。

このように今後も毎月の不満のトレンドを確認しながら、月次のトピックスに対してどのような不満や要望があるのかご紹介していきたいと思う。
今回は11月の不満トレンドと共に「寒さ」に対する生活者の不満に着目し、不満データの特徴や活用事例ついてお知らせした。次回も12月ならではの話題でお届けしていきたい。