バレンタインはセンチメンタルな季節

ー 「不満買取センター」から収集した不満データの分析結果報告 ー

2019.03.04

株式会社インサイトテック(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:伊藤友博)が運営する「不満買取センター」では、日々生活者からの不満の声を収集しております。今回、収集された不満の声を用いて、バレンタインやホワイトデーに関する不満について分析を行いました。

 記憶に新しい2018年にあった「日本は、義理チョコを辞めよう」というゴディバの新聞広告が話題になったように、長年続くバレンタインやホワイトデーにおけるチョコレートなどを渡す習慣について、様々な見解があります。また、近年は「友チョコ」「逆チョコ」など、新しい形式も普及しつつあります。そこで、この時期に発生する男女が抱く不満の声をもとに、このバレンタインの習慣や、チョコレートに関する商品・売場に関して考察していきます。

■2月に入ってバレンタインに関する不満が増加し、14日にピークを迎える

 消費者から投稿される不満の声について、バレンタインやホワイトデーに関するワードの時系列的な推移は以下のようになります(2018年1月~3月、2019年1月~直近までの時系列グラフ)。男女いずれも2月に入ってからバレンタインに関する不満が増加傾向となり、14日当日にピークを迎えています。両年いずれも、14日以前の2月の不満ボリュームは、男性と比べて女性のほうが高くなっています。また、14日以降は落ち着いてきて、再度ホワイトデーの日(3月14日)に不満ボリュームが増加します。但し、ホワイトデーの場合には、バレンタインデーのように徐々に高まるというよりも、3月14日に集中している傾向です。また、バレンタインデーと比べると、ホワイトデーの場合には不満ボリュームのピークは小さくなります。やはり、男女いずれもホワイトデーというよりもバレンタインデーの方で不満の声が多いことがうかがえます。


※1:検索キーワード:バレンタイン、義理チョコ・本命チョコ・友チョコ・逆チョコ、ホワイトデー
※2:不満投稿量についてアクティブモニター数の変化などを加味した水準値を指標としている

■不満の感情度合いは、性別・期間により変動する

 それでは、消費者から投稿された不満の声について、その内容がどの程度深刻なのかを、テキスト内容から判別した感情スコアから確認します。(株)インサイトテックが開発したITASの「感情分類AI」を用いて分析します(http://lab.insight-tech.co.jp/articles/71)。
テキスト内容から感情を分類する手法は複数種類が存在しますが、本分析では文章全体の内容から、投稿された不満の声を、「低不満」「嫌気」「怒り」の3つに分類します。「低不満」とはそこまで強くない不満をさします。「嫌気」は嫌な気持ちをさします。「怒り」は腹が立ち、憤っている状態をさし、最も深刻度の高い不満といえます。不満のテキスト内容から、ITASを用いることで自動的に各不満の感情分類を行うことができます(参考:図表2)

 さきほどの時系列分析で用いたデータについて、以下のように期間を設定しました。「1月期」は、2018年1月における内容、「バレンタイン直前」は2018年2月1日~13日、「バレンタイン当日」は2018年2月14日、「バレンタイン以降」は2018年2月15日~28日、「ホワイトデー直前」は2018年3月1日~13日、「ホワイトデー当日」は2018年3月14日のもので定義しております。この区分に沿って、バレンタインやホワイトデーに関する不満の声の深刻度合いが、どのように変化をしていったかを性別で確認した結果が図表3となります。

 図表3の結果から、女性はバレンタイン当日において「嫌気」が増加します。バレンタイン以降は減少していきますが、ホワイトデー当日に「嫌気」と「怒り」いずれも大幅に増加している状況です。この結果から考えられることとして、女性ではバレンタインチョコを買うと思われる直前期ではそこまで感情は高まりませんが、イベント当日に不愉快・不快な気持ちの割合が高まる。その後、おさまりつつあった感情がホワイトデー当日に高まっていきます。男性からお返しされた内容やそのイベント自体に対して、不快や憤る気持ちが高まっているようです。ある意味、バレンタイン用のチョコを買う行為自体にはそこまで抵抗はないけども、渡す当日の面倒くささや同僚などとの関係性などが抵抗になっているのではないかとも考えられます。
 一方、男性は、バレンタイン直前に若干「嫌気」が高まるが、当日以降にはそれが収まり、ホワイトデー直前に「怒り」が高まっています。実際に不満内容をみて確認すると、バレンタイン直前では、“店頭の商戦やイベント、CMの内容がバレンタイン仕様に変化したこと”などが嫌気の要因として多く挙げられていました。また、ホワイトデー直前については、意見は分散しましたが、ホワイトデーのためにチョコを買うことを検討する虚しさや面倒くささから来る憤りが背景にあることがうかがえました。
 このように、対人的な関係性や慣習が背景にあるバレンタイン・ホワイトデーというイベントでは、消費者の不満や感情が大きく揺れ動くセンチメンタルな季節のように思えます。このような変化の機微を踏まえて、各イベント前後において性別で売場改変を適切に行うなど、棚割やプロモーション、商品展開自体にもいろいろ反映できるかもしれません。

■具体的な不満の声

 最後に、消費者から投稿された不満の具体的な内容をご紹介します。

■慣習に関する不満

 このイベント行事自体の意味を問うもの(特に義理チョコで顕著)や、渡した後の反応に対する不満などが多く見られました。一例ですが、“クリスマスぼっち”があるなら“バレンタインぼっち”なども普及させようなどのお父さんの意見もありました。

■プロモーションや商品売り場などに関する不満

 テレビ番組やCM内容がバレンタインばかりになることや、売場や店員対応がバレンタインメインになるために、普段チョコを買っている男性が買いづらい雰囲気になっている様子がうかがえます。また、女性については、バレンタインの時と比べてホワイトデーのお店の盛り上がりがイマイチ、商品の品揃えがイマイチという意見もあり、好きなチョコレートということもあり、ホワイトデーであろうが、いろいろ珍しいものを求めている様子がうかがえます。

~最後に~

 不満買取センターでは、今回のテーマであるバレンタインやホワイトデーであれば3,000件以上、チョコレートカテゴリーに関するものであれば10,000件以上の消費者の声が蓄積されています。そして、チョコレートに限らず、食品や飲料、雑貨品、テレビ番組など多種多様な消費者の不満の声は、合計で1,000万件以上収集されています。これらのデータは、さまざまな企業において、商品開発やプロモーションなどのマーケティング活動に活用されています。ご興味のある業界・業種で、消費者の声を活用されたいご要望があれば、お声かけ頂ければ幸甚です。

【調査概要】

分析データ :「不満買取センター」に投稿される生活者の不満の声
主な分析対象:「バレンタインデー」「ホワイトデー」に関連する不満を投稿した1,367件
主な分析期間:2018年年1月1日~3月16日、2019年1月1日~2月16日

渋瀬 雅彦

執筆者情報

筑波大学大学院卒

マーケティングリサーチ会社において、日用消費財メーカーを中心にリサーチ業務に従事した後、リサーチパネル開発やリサーチ手法の開発を推進。

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