現代の食トレンドは"エフォートレス"

ー 女性調査2017よりvol.1 ー

2017.11.20

弊社が運営する「不満買取センター」の会員は、実は女性が半数以上を占めています。ただ、ここで一口に「女性」と言っても、様々なタイプの方がいることは想像に難くないと思います。最近では、人々のライフスタイルは多様化し、年代や地域等の基本属性だけでは一律に比較判断できなくなっています。特に女性は、結婚・出産・就職・離職等のライフイベントが多く、ライフステージによっても、生活や価値観、嗜好が大きく異なります。 結婚や出産をしても仕事を続ける女性が増える一方で、食品や日用品を始め多くの市場では、まだまだ女性の方が購買の意思決定権を持っています。
様々な人生を生きている女性の価値観や嗜好を把握し、それを世の中に還元することで、人々のくらしや企業のビジネスを支援したいという思いから、Women Insight Projectという女性にフォーカスしたインサイト開発のプロジェクトを立ち上げ、その第一歩として「食」をテーマに意識調査を行いました。 今回は、世の中の食トレンドをふまえ、その調査結果をご紹介します。

料理なんて、楽しくない

食事と言うと、私たち人間が生きていくうえでは欠かせないものであり、また、食べること自体が趣味や楽しみとして確立されてもいます。テレビや雑誌、インターネットでも「グルメ」「フード」は鉄板コンテンツです。その前提となる「料理」についても、ポジティブなものとして捉えられているかと思いきや、日々料理に悩んでいる女性たちの姿が、調査の結果から明らかになりました。

料理をする際の意識では、1位「なるべく時間をかけずに調理をしたい(56.1%)」、2位「献立に悩むことがある(48.0%)」、4位「食事の支度をすることが億劫に感じることがある(44.9%)」、5位「料理のレパートリーを増やしたい(43.3%)」などが上位にあがり、女性が日々の料理で不便を感じ、特に作業の効率化と献立が課題になっている様子が窺えます。
特にその悩みは子供がいる女性で顕著です。育児をしながら食事の支度をすることは大変ですし、しかも自分はお腹が空いていないときでも子供には何か食べさせなければならないときもあります。子供が好き嫌い言わないよう、どうやったら食べてくれるか考えるのにも苦心します。食事作りが半ば義務化してしまうと、このような悩みも強くなるのでしょう。

「食事に関する不満」の回答でも、食事作りに対して悩んでいる、不満に感じていることがわかります。作ること自体への不満もさることながら、「考える」「レパートリー」「献立」といったワードが目立ち、「何を作るか考えること」に苦労している様子が窺えます。

(「食事に関して、あなたが感じている不満をお知らせください。」というフリーアンサーの回答をワードクラウドにて表示したもの。大きく表示されている単語ほど、回答の中での登場頻度が高いものになる。)

一方、「料理をするのは楽しい」と答えた人は21.8%、「自分は料理上手だ」と答えた人は12.5%とわずかな結果になりました。決して料理をするのは得意ではない、楽しいときばかりではないけれど、それでも自分が作った料理で家族が喜んでくれればうれしい。多くの女性にとって、料理は自分のためではなく、子供、家族のためのものということがわかります。

エフォートレスなトレンド

ところで数年前からファッション業界でのトレンドで“エフォートレス”という流れがあります。“エフォートレス”とは「努力を要しない、骨の折れない、楽な、努力したように見えない」という意味です。女性誌のELLEが発信したトレンドワードで、ファッションに置き換えると「肩肘はらない、がんばり過ぎないファッション」を指すのだそうです(※1)。頑張り過ぎてはいませんが、決して「手抜き」ではないのがポイントです。
この“エフォートレス”の流れが、ここ最近では食の分野にも起こってきています。
例えばフランス発の冷凍食品専門スーパーの「ピカール(picard)」やフードデリバリーサービスの「UberEATS(ウーバーイーツ)」は、“エフォートレス”の流れだと考えています。
これまでの考えでは、冷凍食品やデリバリーというと、どうしても「手抜き」のようにイメージされてしまいますが、ピカールもUberEATSもいい意味で力が抜け、それでいて「センスがいい」ものに写っています。
実際、ピカールのプレスリリース(※2)に掲載されているメニューである、クロワッサン、トマトとマリネのバジルソースのニョッキ、ミニエクレアなどはおしゃれで見た目も華やか、食卓に並んでいたらテンションが上がるようなメニューです。UberEATSも、人気レストランのメニューが自宅でも楽しめるとあって、私も友人やママたちとのちょっとした集まりなどではよく利用します(手料理を持ち寄るなど、誰かの負担になるようなことはしません)。
また、食事の「作り置き」ブームも“エフォートレス”の流れといえるかもしれません。常備菜はもともと日本にあった文化ですが、ここ数年再び注目を浴びるようになり、レシピ本やInstagramでの投稿でも人気です。週末に1週間分のおかずをまとめて作ることで平日が楽になる、作り置き。でも「作り置きをしている」と言うと、他の人には決してサボっているというようには写らず、むしろ「ちゃんとしている」「丁寧に暮らしている」という印象を与えることができます。

料理にこだわる人ほどエフォートレス

悩みながらも家族のために日々食事の支度をする女性たちですが、前述のような“エフォートレス”なトレンドも取り入れながら、頑張り過ぎず料理と向き合っている姿も見て取れます。

こちらはライフコース別の料理頻度ですが、子供がいる女性でほぼ毎日料理をする人は8~9割です。ほとんどの人が毎日料理をしているということなのですが、一方、毎日料理をしない子持ち女性も1~2割ほどいらっしゃいます。私の周囲でも、平日はちゃんと作るけど土日は外食をして家事を休むというタイプのママたちもいます。また、前述の「作り置き」があれば、週のうち1~2日は本格的な料理はせず食事の準備ができてしまうということもありそうですね。
そしてこれまで述べてきたエフォートレス、実は料理にこだわる人ほど取り入れているということも明らかになりました。

例えば、「手間ひまかけて凝った料理を作りたい」「家族には手作りのお菓子を出すようにしている」「昆布やかつおぶしなどから、だしは自分でとっている」といった、ちゃんと料理をしている、料理にこだわりがある人ほど、ピカールもUberEATSも利用したことがある人が多かったのです。
頑張り過ぎず、適度に外のサービスや新しいテクノロジーも取り入れるのが、ストレスなく料理を楽しみ続けるコツなのかもしれません。

「手抜き」に見えず、ママや女性の日々の料理の負担を軽減してくれるものや、ちょっと楽にしてくれる商品・サービスは、これからも受け入れられていくのではないでしょうか。その際、「簡便」「時短」といった効率面だけが前面に出るのではなく、「センスよく見えるけれど実は裏では楽をしている」と見えることが重要と考えています。

「今日のご飯は何にしようかな。」
どうかこの悩みが、幸せで楽しい悩みでありますように。


※1 http://www.sankei.com/west/news/150508/wst1505080005-n1.html
※2 日本1号店 「Picard 青山骨董通り店」オープン - イオン株式会社
http://www.aeon.info/news/2016_2/pdf/161013R_2.pdf


調査概要
調査対象: 20~59歳女性
不満買取センター会員20代/30代/40代/50代 各500ss 計2,000ss
調査手法: インターネット調査
不満買取センター(web)内でのアンケート
地域: 全国
調査期間: 2017年6月

Women Insight Project

執筆者情報

不満買取センターの中でも、女性の声にフォーカスし、現代女性の思いを企業や世の中に還元していくことを目的に立ち上げられたプロジェクトです。

近年は人々のライフスタイルの多様化により、年代や地域等の基本属性だけでは生活者像を理解できなくなってきています。特に女性は、結婚・出産・就職・離職等のライフイベントが多く、ライフステージによっても、生活や価値観、嗜好が大きく異なります。様々な人生を送っている女性の価値観や嗜好を把握し、それを世の中に還元することで、人々のくらしや企業のビジネスを支援するのが、このプロジェクトの目的です。

参考:女性の食クラスタ概要はこちら
http://insight-tech.co.jp/data/news/pdf/IT_NEWS_RELEASE_2017-09-15.pdf

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