• コラム
  • 2017.12.22

レシピは直感&効率で情報過多時代の女性と料理
女性調査2017よりvol.2


日常生活

気づき

前回は、女性の食、特に料理に関する意識を現代の食トレンドを絡めてお伝えしました。
現代の食トレンドは“エフォートレス”

今回は、情報接触の観点から、食・料理のトレンドをご紹介します。

 情報量の拡大、そして動画

世界の情報流通量が増大しているというのは、今さら説明が必要なことではないかと思います。米国の調査会社IDCによると、国際的なデジタルデータの量は飛躍的に増大しており、2020年には約40ゼタバイトに達すると予想されているそうです(※1)。「ゼタバイト」というのはご想像のとおりデータ量を表す単位のひとつですが、メガバイト、ギガバイト、テラバイト、ペタバイト、エクサバイトの次に来る単位で、「10の21乗」として扱われ、21個ものゼロが付きます。ここまで桁が大きいとなかなか実態をつかめませんが、とにかく大きいということ、それだけの情報量に直面した時代に突入しているということはおわかりいただけると思います(乱暴な説明ですみません)。

このようなデータ量増加の背景には、もちろんネットワークやデバイスの普及・高度化、それによる動画コンテンツの増加があります。
インターネットコンテンツの中では、近年動画市場の伸びが著しくなっています。FacebookやTwitterなどのSNSでも投稿するコンテンツとしての動画はもちろん、ライブ配信やInstagramでのストーリー機能が始まり、普及を見せています。ブラウザを立ち上げれば動画広告が目に飛び込んできます。
この動画コンテンツの波は食の分野にも広がっており、特徴的なところでは動画レシピサービスの急成長が挙げられます。

 利用広がる料理動画サービス

みなさんは、食事を作るときに何の情報を参考にしますか?冷蔵庫の中にあるものでささっと作りますか?スーパーで特売になっているものを見て考えますか?Cookpadで材料を入力して検索しますか?その時々で、もちろんさまざまなパターンがあるかと思います。
前回コラムでは、女性たちは料理そのものもさることながら、献立を考えることやレパートリーの少なさについて悩んでいることをお伝えしました。自分は料理上手だと思っている人もわずか12.5%。そのような女性たちにとって料理情報やレシピ情報は重要な参考情報です。
今回の調査結果では、料理に関する情報・レシピに関して参考にするところは、1位が「レシピサイト(クックパッドなど)(71.0%)」で、7割の女性が参考にしている結果になりました。次いで「テレビ番組(39.9%)」「料理の本(30.6%)」と続きます。レシピサイトは、30代が最も利用率が高くなりましたが、50代でも65%の人が利用しておりトップで、各年代に定着している様子が明らかになりました。

注目は6位の「料理動画サービス(17.2%)」です。全体では6番目ですが、20代ではレシピサイト、テレビ番組に次ぐ料理情報メディアであり、4人に1人が参考にしているという結果になりました。20代はそれ以外にも「Instagram(8.4%)」が7位にランクイン。他の年代で10位以内に入っている「店頭においてあるチラシ」は下位など、料理情報の取得方法・接触ポイントも若い世代では変わってきています。

 20代の食事はスマホとともに

いまや人々の必需品となったスマートフォン。20代は食事のシーンでも活用率が高くなります。食べ物や料理の写真を撮ることがある20代女性は3人に1人(33.8%)、食べたものをSNSやブログで紹介することがあるのは7人に1人(14.2%)です。
2017年の新語・流行語大賞にもなった「インスタ映え」(※2)、20代女性の10人に1人はそのInstagramを見て外食先を選ぶことがあるということもわかりました。Instagramの利用者だけに絞ると、5人に1人になります。キラキラとおしゃれな写真が並んでいるInstagramで目にする食べ物は、確かに魅力的に見えます。どこで何を食べるかを、Instagramを見て考える。みなさんは、そのような行動がイメージできるでしょうか。それともご自身にも当てはまることでしょうか。

このように、食事がSNSのひとつのコンテンツにもなっている20代女性、特にInstagramの流行や前述の「インスタ映え」というワードから想定されるのは、より直感的に「いいな」と思うものを判断するようになってきているということです。そんな20代女性は「テキストのレシピよりも、動画レシピの方がわかりやすい」の数値も全体より高くなっています(全体が14.6%に対し、20代女性19.6%)

 “間違いない”がほしい

本調査結果をもとに弊社で開発した独自の食クラスタがあります。
インサイトテック独自の「女性の食クラスタ」の導入

料理意識と食のコミュニケーション意識から、女性を7タイプに分類したものです。そのクラスタ別に見ると、料理動画サービスの利用が高いのは「満腹ハッピータイプ」と「正解さがしタイプ」になります。
「満腹ハッピータイプ」は20代が多いクラスタで、食べることが好きなタイプです。スマホを使いこなし、SNSでグルメ情報を取得したり、食べ物の写真をSNSにアップしたりすることも日常的に行います。

一方、30~40代のママが多い「正解さがしタイプ」はまさに日々の料理に頭を悩ませているタイプです。料理は苦手で、できれば効率的に作りたいと考えていますが、家族に喜んでもらうために頑張りたいというモチベーションもあります。得意料理と言えるものは数えるくらいで、献立もなかなか決まらず、レシピサイトが欠かせません。「検索上位やランキング上位のものを作っておけば、とりあえず間違いないよね!」と、わかりやすい「正解」を求めています。そんな「正解さがしタイプ」にとっては、動画で各工程の動作を端的に解説してくれる料理動画はとてもわかりやすい「お手本」になっています。「テキストのレシピよりも、動画レシピの方がわかりやすい」という意識も高くなっています(全体が14.5%に対し、28.4%)。

 リテラシーが低い人に刺さるネットサービス

ポイントは、「正解さがしタイプ」が他クラスタと比較して決してITリテラシーが高いわけでも、スマホで様々なサービスを使しているわけでもないことです。スマートフォンで利用しているサービスを見ても、特に突出して利用率が高いわけではなく、もっとスマホやネットサービスを使いこなしている層は他にもあります。

日々の料理に悩みを感じる普通の主婦にとって、情報がありすぎる現代は、知りたいことを検索することも、膨大な情報の中から「間違いない」ものを見つけることもひと苦労です。ITリテラシーも高くないからこそ、料理の情報も効率的に、直感的に選べるサービスがヒットしているのだと思います。丁寧な価値訴求は引き続き大切にしながらも、直感的に「いい!」と思わせ、感情を動かすポイントを設けることも重要になってきていると考えます。

ここまで2回にわたり、現代の女性の食トレンドをお伝えしました。悩んだりしながらも、新しいサービスやテクノロジーを使いながら、前向きに料理と向き合い、楽しんでいる女性たち。今後も、女性たちの価値観を知ることによって、彼女たちの気持ちを理解し、双方が幸せになれる関係をつくるためのお手伝いができれば幸いです。

※1 総務省 ICTの進化が促すビッグデータの生成・流通・蓄積
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc131110.html
※2 ユーキャン新語・流行語大賞
http://singo.jiyu.co.jp/award/award2017.html#prize01

調査概要
調査対象: 20~59歳女性
不満買取センター会員20代/30代/40代/50代 各500ss 計2,000ss
調査手法: インターネット調査
不満買取センター(web)内でのアンケート
地域: 全国
調査期間: 2017年6月

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