- コラム
- 2017.12.28
不満の声の力で快適なお買い物を
不満データの利用研究事例
弊社が運営する「不満買取センター」では日々、たくさんの不満の声が寄せられています。弊社も寄せられた不満の声を届けようと日夜がんばっておりますが、もう少し違った目線から見ればもっとユニークな方法で不満の声を解決できるかもしれません。そんな想いで、弊社は「不満買取センター」の投稿情報を研究目的で無償提供をしています。
「不満」を研究用データセットとして無償提供開始 情報・システム研究機構 国立情報学研究所と連携
今回は、いくつかの大学と研究機関にデータ提供した中から、ユースケースを紹介させていただきます。
不満の声がより良い買い物につながる?
さて本日、紹介させていただく研究発表「E-Commerceにおける 不満情報とレビューに基づいた 不満解決商品推薦手法の提案」(林など)です。
この発表はWebDB Forum2017にて発表され、株式会社博報堂賞と学生奨励賞を受賞しています。
簡単にかいつまんで説明すると「閲覧商品の悪いところを改善した商品を推薦できるシステム」です。
インターネットショッピングはいまやとても一般的な存在になりました。きっと、みなさんもインターネットでお買い物をされたことをあると思いますが、商品ページを見ている時に「この商品がオススメだよ!」とオススメされたことがありませんか?
このように「閲覧している商品と何かしらの関係をもった別の商品を推薦できるシステム」のことを「レコメンデーションシステム」と呼びます。
インターネットショッピングの世界でよく見られるレコメンデーションシステムには次の2つがあります。
- たくさんのユーザーのクリック履歴を元に推薦するシステム
- 1人のユーザーの好みをシステムが学んで、最適化していくシステム
1.タイプのシステムでは「大多数の人が良いと思う関連商品」がオススメされますし、2.タイプのシステムでは「あなたが気に入りそうな関連商品」がオススメされます。
このようなオススメでも良いこともあるでしょう。しかし、みなさんは商品を探す時にこのような経験はないですか?例えば「スマートフォンAを持っているんだけど、欠点を改善したもっと良い製品が欲しいな。」
このような目的で商品を探している時は、1.タイプのシステムでも2.タイプのシステムでも対応ができません。
そこで、不満データを使って「より良い商品をオススメしよう」というのが、この研究です。
どうやって不満データを使うのか?
例えば、いまあなたがインターネットショッピングサイトで「スマートフォンA」を見ているとしましょう。
そうすると、この研究でのシステムは「スマートフォンA」についての投稿を不満データから探します。不満データの中には、単にネガティブな声だけでなく、要望が書かれた投稿もたくさん存在しています。ですので、「スマートフォンAが防水だったらなぁ」という投稿も見つかるわけです。
そうすると、システムは「スマートフォンAの良くないとこは防水ではないことなんだな」と認識します。最後に、インターネットショッピングサイトから防水性の別スマートフォンBを検索します。
こうして、システムは「スマートフォンAの『防水性』という欠点を改善したスマートフォンB」をオススメできるという仕組みです。
まだ、このようなシステムは実用化されていませんし、どのインターネットショッピングサイトもこのようなシステムを持っていません。
けれども、レコメンデーションシステムの1システムとして、こうしたオススメがあれば、きっと買い物はもっと楽に、そして選ぶのが楽しくなるはずです。何かと忙しい年末年始の時期、こうしたレコメンデーションが実用化されると嬉しいですね。