• コラム
  • 2018.08.24

不満買取センターに投稿される声(その3)
Insight Eye3:2018年7月


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株式会社Insight Techが運営する「不満買取センター」は、日常生活で感じたあらゆる内容の不満が日々1万件投稿される日本最大の不満データプラットフォームである。サービス開始から約3年半の間に900万件を超える投稿データを保有している。
一般的な調査会社は、商品やサービスに関する生活者の不満を集める場合、アンケートの自由回答設問で、例えば「キリンラガービールの不満をお答えください。」、「アサヒスーパードライの不満をお答えください。」という質問による回答形式でデータを集めている。しかし「不満買取センター」では、こちらからは質問をせず、気付いたときに感じた不満を投稿できる形式でデータを集めており、より些細な内容やバイアスのない生活者のホンネが集まりやすいプラットフォームとなっている。
日頃、我々は蓄積された900万件以上のデータを、AIによる言語解析で可視化し、生活者のインサイトを把握しながら、企業や社会の課題解決に利用している。
2018年5月から始まったこの連載では、「不満買取センター」に投稿される毎月のデータの特徴を確認しながら、不満のトレンドが世の中や社会の動きと関係があるのか、季節や文化と関係があるのかに分析の視点を置き、分析結果とそこから得られた知見を紹介している。今回の2018年7月は夏休みに関連する内容にテーマをおき分析を行った。その結果をご紹介したい。

下のグラフは、Insight Techが独自に定めた業種カテゴリで「レジャー施設」に投稿データを絞り、2017年10月第1週目から2018年7月第4週目までの43週トレンドで、「レジャー施設」カテゴリへの投稿件数と、その投稿内で「子供(子ども)」のワードが含まれる投稿件数を表示したグラフである。
秋休み、冬休み、春休み、ゴールデンウィーク、夏休みといった大型連休の期間は、レジャー施設やレジャー施設における子供関連の不満が他の時期よりも増えていることが確認できる。このことから、不満投稿は生活者の行動と密接に関連していると言うことができる。
冬休みは、会社も学校も休みとなるが、その期間内に年末年始がある為、実家へ帰省したり、自宅で家族と過ごす時間が多く、他の大型連休と比べてレジャー施設に行く機会が少ない為、投稿件数が少ないのではないかと思われる。
また大型連休以外の時期にレジャー施設に行く機会として、バレンタインが考えられる。不満投稿件数を見ても、2月2週目のバレンタイン時期は、大型連休以外の時期としては最も投稿件数が多い。しかし子供関連の投稿件数は他の時期と比べて、それほど多い状況ではない。バレンタインの時期は、親子でレジャー施設に行くのではなく、カップルや友達と行って愉しむ時期だと不満投稿件数から想像することができる。

続いて下のグラフでは、「レジャー施設」カテゴリへの投稿のうち「子供(子ども)」のワードが含まれる投稿(1,163件)を対象に、Insight Techが保有する意見タグAI、可視化AIで分析を行い、どのような不満投稿があるのか、該当する投稿(1,163件)を俯瞰して確認した結果である。
意見タグAIとは、不満投稿内容をAIが構文解釈し、「□□-ガ-○○」という意見性があるフレーズを抽出する技術である。可視化AIは、意見タグにより抽出された意見性があるフレーズ(意見タグ)の類似度を踏まえてクラスタリングし、クラスタリングごとの意見タグのまとまりをマップ形式で表示する技術である。

※次のURLより詳細内容をご参照頂きたい。

意見タグAI:http://lab.insight-tech.co.jp/articles/69

可視化AI:http://lab.insight-tech.co.jp/articles/70

「子供(子ども)」に関する投稿では、”割引、入場料、料金、値段“といった出費に関連するクラスタが複数形成された。意見タグを確認すると、「割引がない」、「入場料が高い」、といった内容が大半で、子供と一緒にレジャー施設に行ったのに、出費が大き過ぎて負担であるといった親の不満であることが分かる。その他では、”小さい子供、小さい子ども“といった小さい子供に関連するクラスタ、”トイレ“、”喫煙所“といった施設・設備に関連するクラスタ、レジャー施設の不満として定番である”並ぶ“といったクラスタが見られた。それぞれ意見タグを確認すると、「小さい子供が遊べるようにして欲しい」、「小さい子供が楽しめるようにして欲しい」、「トイレが少ない」、「並ぶのが辛い」といった内容であった。特に、小さい子供に関連するクラスタが大きいことから、小さい子供が安全に楽しく遊べる施設への要望が高いことが分かる。

最後に下のグラフでは、「レジャー施設」カテゴリへの投稿のうち「子供(子ども)」のワードが含まれる投稿(1,163件)からレジャー施設の場所が特定できた投稿(1,046件)について、場所・施設別の投稿件数、それぞれの不満の感情分類を比較してみた。
場所・施設別では、「東京ディズニーランド」が、他のテーマパークである「レゴランド」、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」、「キッザニア」と比較すると不満の投稿件数が多いことが分かる。入場者数が国内NO.1のレジャー施設であることから、不満の投稿件数も比例して多いと見ることができる。逆に「レゴランド」はオープンしてまだ時間が経っていない為、注目されていることが影響しているのか、入場者数が「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」よりも少ないのだが、不満の投稿件数が多いことが注目できる。
不満の感情は、「怒り+嫌気」の割合で表示し比較を行った。その結果、テーマパークの不満は比較的低いのに対し、温泉施設/スパ、映画館/劇場の不満が特に高いことが分かった。これらの施設は、高年齢層に人気があり、寛ぎたい、ゆったりした気持ちになりたい、落ち着いて鑑賞したい、といった期待を抱いて訪問する場合が多く、そうした期待が満たせないと、不満度合いが強くなるのかもしれない。

ここまで確認してきたように、7月の投稿からも興味深い内容を確認することができた。これから夏休みを取得する方、秋休みを計画中の方には、今回のデータを参考して、愉しい夏休み、秋休みにして頂きたいと思っている。
次回は2018年8月の投稿から、不満の特徴とデータの見方、気付き、データの使い方についてお知らせしたいと考えている。今年の8月は記録的な猛暑や台風の影響など、天候でのニュースが多い。また夏の風物詩である甲子園では第100回大会が行われ、ジャカルタではアジア大会が開催されるなど、スポーツの話題も多い。8月ならではの話題でお届けできるようにしたいと思っている。

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