• コラム
  • 2018.10.12

不満買取センターに投稿される声(その5)
Insight Eye5:2018年9月の特徴的な内容とは?


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株式会社Insight Techが運営する「不満買取センター」には、日常生活で感じたあらゆる内容の不満が日々投稿されている。投稿された950万件を超える不満データは、Insight Techが保有する独自の自然言語処理技術を活かし、企業や社会の課題解決に広く利用されている。
このコラムは、「不満買取センター」に投稿されたデータを、世の中のトレンドや話題をテーマに分析し、そこから得られた分析結果や知見を紹介しているものである。前回2018年8月は「夏の異常気象」に着目し、「天候」に関連する内容をテーマにしたが、今回2018年9月は、「国政」に着目し、安倍首相が3選を果たした「平成最後の自民党総裁選」に関連する内容をテーマに分析を行った。その結果をご紹介したい。

下のグラフは、2018年1月~9月までの「不満データ全体」の投稿者の年代構成比と、その中から「総裁選」のワードを含む投稿、「消費税 10%」のワードを含む投稿を比較した内容である。
40代以上の中高年層の割合を確認すると、「不満データ全体」では4割弱だったのに対し、「消費税 10%」では5割強、「総裁選」では6割強と高いことが分かった。特に「総裁選」では60代以上の割合が高い状況である。「消費税 10%」は、今回の総裁選で重要な財政政策のひとつとして注目された内容であるが、この結果を見ると年齢が上がるにつれて政治への関心が高くなること、また家計に直接影響する増税のような問題は、40代~50代の子供の教育等にお金がかかる年代で不満が高い状況であることが分かった。

続いて下のグラフは、同様の抽出データを男女別に比較した内容である。
男性の割合が「不満データ全体」では3割強だったのに対し、「消費税 10%」では4割強、「総裁選」に至っては5割強と半数を占めている。この結果から男性の方が政治への関心が高いことが分かる。「消費税 10%」については、男性は「不満データ全体」よりも1割程高く、『来年から消費税10パーセント。セブン等で買い物は出来ないかもしれない(40代男性/既婚/会社員)』などの声が見られ、少ないお小遣いでやりくりしている世のサラリーマンの心の叫びが見られた。また女性は「不満データ全体」よりも割合が減っているが、『来年10月に予定されている消費税率10%への引き上げに反対する。これ以上家計への負担がかかることは困る。(30代女性/既婚/専業主婦)』などの不満の声が見られた。

では次に、「総裁選」のワードを含む投稿(986件)を対象に、自然言語処理技術で抽出できる意見タグを利用し、どのような投稿内容なのかを確認したい。意見タグとは投稿内容をAIが構文解析し、意見性がある部分を「意見対象部-格-意見述部」という形式で抽出する技術である。

※次のURLより詳細内容をご参照ください。
意見タグAI:http://lab.insight-tech.co.jp/articles/69

下記は、抽出された意見タグの“意見対象部”のランキング表である。「石破さん」、「安倍さん」を抑え、2位に「国民」がランクインしている。「国民」が含まれる意見タグを確認すると、「国民投票‐ニ‐してほしい」、「国民-ガ-決められない」、「国民の民意-ガ-反映されない」など、国民が直接総裁を選べない、総裁選に投票できないことへの不満が読み取れる内容であった。例えば今回の総裁選で投票権が与えられていたのは自民党所属の国会議員と全国の党員・党友のみである。選ばれた人、限られた人にしか投票権がなく、自国の総裁選に関与できないもどかしさやその複雑な仕組みに対する不満が多く挙がった結果と思われる。

(一部抜粋)

  • 『党内の選挙での総裁選なんて、ただの派閥の癒着でしかないから全く意味を感じないです。(20代女性/既婚/専業主婦)』
  • 『国の首相を選ぶのに 党内だけで選挙するのはおかしいと思う 国民を無視している。選挙のやりかた変えるべきと思う(60代女性/既婚/自由業)』
  • 『国会議員票と党員票で、安倍総裁に対する支持の割合がかなり違った。国民の声を重視するのであれば、次回からは、党員票の比重を高めた方がよいと思う。(40代男性/既婚/会社員(事務系))』

日本では、2016年6月から公職選挙の投票権年齢が20歳から18歳以上に引き下げる選挙制度改正が適用され、10代が政治に参加できるようになった。しかし、不満の投稿からも見られたが、日本は若い世代ほど政治に関心が薄く、自分が投票したら社会が変わるという意識、“エフィカシー”が低い状況である。国政は国民生活に大きく関わっており、民意を公正に反映した制度や運営が行われるように、まずは個人単位で関心を持つことが重要だと感じている。

今回は「平成最後の自民党総裁選」に関連する内容をテーマに、生活者がどの程度関心を持ち、いかなる想いを抱いているのかを読み解いてみた。次回は2018年10月の投稿から、不満の特徴を紹介しながら、データの見方や使い方についてお知らせしていきたい。10月は秋本番となり、ハロウィンなどのイベントやたばこ税の増税がスタートする月でもある。次回も10月ならではの話題でお届けしていきたいと思っている。

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